こんにちは、調味料販売をしながら料理の勉強をしているカセと申します。
レシピを検索していたら、「片栗粉をまぶす」と書いてある所もあれば「小麦粉をまぶす」と書かれている場合もあり、どっちを使えばいいのか迷ってしまった経験ありませんか?
あります、私もあります。
そこで今回はそんな疑問にお答えするべく、片栗粉と小麦粉の違い、どのような場面で使うべきなのかを徹底的に調べてきました。
片栗粉と小麦粉の違い
片栗粉も小麦粉もどちらも揚げ物の衣や、あんかけのとろみ付けに使用されます。ですが、衣の食感やスープのとろみに違いが出てきます。
片栗粉について
片栗粉は主にジャガイモのデンプンから作られます(江戸時代まではカタクリという花が原料になっていたそうで、名前はその名残です)。小麦粉はデンプンに加えて数%タンパク質も含んでいますが、片栗粉はほぼ100%デンプンで作られているのが大きな違いです。
水に溶かすと少量で強いとろみが付くため、中華料理のあんかけなどに使用されます。また、ソテーや揚げ物に使用するとカリッとした食感に仕上がりますが、時間が経つと若干べたべたしてくるという特徴があります。
小麦粉について
小麦粉はその名の通り、小麦を挽いて作られます。片栗粉と同じく、小麦粉も成分のほとんどがデンプンですが、残りの1割程度タンパク質を含んでいるのが大きな特徴です。このタンパク質の含有量により、強力粉(タンパク質12%以上)、中力粉(タンパク質9%前後)、薄力粉(タンパク質8.5%以下)に分けられます。
小麦粉に含まれるタンパク質は水に溶かすことでグルテンになり、柔らかい粘りが出るのが特徴です。ソテーに使用するととろみを付けつつふわっとした柔らかい食感になり、揚げ物の衣に使用すると外はサクサクッ中はふわっとした仕上がりになります。片栗粉のような強い粘りはつかないため、カレーやシチューなどに向いています。
ただし、タンパク質が含まれているため非常に焦げやすく、フライパンで焼く際は十分に注意してください。
唐揚げではどちらを使えばいいの?
よく議論のテーマになるのがこの「唐揚げ」です。どちらを使っていただいても大丈夫なんですが、それぞれの特徴について書いていきますね。
片栗粉をまぶして唐揚げを揚げた場合は、見た目が粉っぽいというか白っぽくなり、ザクッとしたカリカリ食感に仕上がります。ただし、時間の経過と共に多少粘つきが出てきます。
これに対し、小麦粉をまぶして揚げた場合は、見た目が綺麗なキツネ色になり、サクサクッとした食感に加えて中はふんわりジューシーに仕上がります。ただし、衣のカリカリ感は片栗粉に劣ります。
お好みで片栗粉と小麦粉どちらを使用していただいても大丈夫なのですが、オススメは小麦粉を一度付けてから外側に片栗粉を付ける方法です。小麦粉が鶏肉と調味料の旨味を閉じ込め、外側の片栗粉がカリッと仕上げてくれます。どちらか片方をたっぷり付けてしまうと、もう片方がくっ付かないため、どちらも薄くまぶすのがポイントです。必ず鶏肉→小麦粉→片栗粉の順番でまぶしましょう。
ソテーではどちらを使えばいいの?
フライパンで魚やお肉を焼く際に、片栗粉や小麦粉をまぶすことで素材の旨味を閉じ込め、焼き上がりをカリカリに仕上げる効果があります。こちらも上で書いている通り、片栗粉をまぶすと表面がカリカリに仕上がり、小麦粉をまぶすと柔らかいサクサク感に仕上がります。好みの問題になりますが、私はカリカリ食感がお肉と合うと考えているため片栗粉を使用しております。
カレー、シチューではどちらを使えばいいの?
カレーやシチュー、クラムチャウダーなどのさっぱりしたとろみを付ける場合は断然小麦粉です。ほとんどの飲食店、ご家庭では小麦粉を使用していますので間違っても片栗粉を入れないようにご注意ください。というのも、片栗粉を入れてしまうと中華あんかけのようなドロリとした粘り気の強いルーができてしまうからです。また、小麦粉は片栗粉と違ってダマになりにくいのも特徴です。
しかし、市販カレーのルーやシチューの素を使用する場合は小麦粉も片栗粉も入れる必要はありません。これらの固形のルーには元々とろみを付けるために小麦粉が使用されているからです。ルーを使わずにスパイスなどから作る自家製カレー、シチューの場合のみ小麦粉を使用しましょう。
片栗粉と小麦粉、代用はできる?
片栗粉と小麦粉は代用できるメニューとできないメニューがあります。
唐揚げや揚げ物、魚のソテー、肉のソテーなどは片栗粉、小麦粉どちらも使用でき、カリカリが好みなら片栗粉、しっとり柔らかいサクサクが好みなら小麦粉をオススメします。これらのメニューは、素材と調味料の旨味を中に閉じ込めるために片栗粉もしくは小麦粉を使用するため、どちらを選んでいただいても大きな失敗になりません。
反対に中華あんかけには絶対片栗粉です。間違っても小麦粉を使用しないように注意しましょう。中華あんかけは適度に具材に絡む「とろみ」が非常に重要になります。小麦粉ではとろみが十分につかず、さらさらになってしまいますので決して間違えないようにしましょう。
絶対に小麦粉を使うべきなのがカレー、シチュー、クラムチャウダーです。これらのスープはさらさらとしたとろみにしなければいけないため、粘り気の強い片栗粉を入れてしまうと全く別メニューになってしまいます。
片栗粉と小麦粉は混ぜて使っても大丈夫?
混ぜて使っていただいても全然大丈夫です。料理にこだわる方は片栗粉と小麦粉を混ぜて使っているのをよく見かけます。特に、唐揚げや揚げ物は片栗粉と小麦粉を混ぜて調整するレシピが多いようです。カリカリに仕上げたい場合には片栗粉を多めに、柔らかジューシーに仕上げたい場合は小麦粉を多めに入れると良いでしょう。
まとめ
- 片栗粉は粘り気が強く、火を通すとカリカリになります。
- 小麦粉はそこまで粘り気が強くなく、火を通すと柔らかいサクサク感に仕上がります。ただし焦げやすいので注意しましょう。
- 「唐揚げ」「揚げ物」「魚や肉のソテー」には片栗粉も小麦粉もどちらも使用できます。
- 中華あんかけには片栗粉を使用しましょう。
- カレー、シチュー、クラムチャウダーには小麦粉を使用しましょう。