魚の醤油と書いて魚醤。読んで字の如く、魚を醤油(大豆)のように塩漬けにし発酵させたのが魚醤となります。ひと口に魚醤と言っても日本全国、そして世界的にたくさんの種類があり、それぞれ製法がことなります。共通しているのは塩分濃度の高い、魚の風味とうま味成分の高い調味料ということだけです。今回は魚醤の味についてご説明いたします。
魚醤はとにかくしょっぱい!
魚醤は一般的な醤油と比べてもかなり塩分濃度が高く、端的に言うと「とてもしょっぱい」です。醤油の塩分濃度の平均が約16%前後なのに対して、魚醤は20%~25%程の塩辛さです。魚醤をそのまま舐めるととても辛く、ほとんど塩の刺激しか感じないほどです。タイの有名な魚醤「ナンプラー」でも塩分濃度が22%前後あるとのことなので世界共通でとても塩辛い調味料ということがわかります。魚醤を調理に使う際には、醤油の感覚では入れずに、少しずつ加えて味を調整するのがオススメです。
魚独特の匂いと旨味成分
何といっても魚醤の最大の特徴はその「匂い」です。魚を発酵させて調味料に仕上げているわけですから、魚独特の香りがたっぷりとあります。タイの魚醤「ナンプラー」はとても匂いがキツく生臭いことで有名ですが、日本の魚醤はナンプラーよりは匂いが抑えられているのが特徴です。生臭さという短所だけではなく、魚の旨味成分がたっぷり詰まっているのが魚醤のポイントです。だし汁などにも使われる魚のうま味成分「アミノ酸」含有量が多いため、醤油では再現できない深いコクと味わいを演出することができるのです。
魚の種類によっても風味が変わる
ひと口に魚醤と言っても、発酵させる魚の種類によっても風味が全然変わってきます。魚醤に使われる材料は、アジ、イワシ、サバ、ハタハタ、タラ、鮎と数多く、魚ではないイカやエビなども使われているというから驚きです。一般的にはイワシ、ハタハタ、鮎などは匂いの少ないクセのない魚醤になると言われており、反対にイカやエビを使った魚醤は匂いや苦みのある味になると言われています。ただし、途中の製法により味も変化するため、必ずしもこの限りではありません。
まとめ
魚醤は醤油よりもさらに塩分濃度の高い、塩辛い調味料になります。さらに、魚独特の匂いがありますが、商品毎に風味の強さが変わるため、どの程度臭いかということはひと口には言えません。また、魚のうま味成分もたっぷり詰まっているため、醤油とはまた違った奥深い味となっております。