こんにちは、調味料の販売をしながら料理の勉強をしているカセです。
香川県の伝統的な調味料、いかなご醤油。魚醤と呼ばれる調味料の中でも特に有名な物の一つです。しかし、名前はよく聞くいかなご醤油ですが、「実際はどんな味なの?」「料理にはどうやって使えばいいの?」とわからないことばっかり。
そこで今回は、いかなご醤油の特徴と、料理への使い方について解説いたします。
いかなご醤油とは
いかなご醤油とは魚醤と呼ばれる調味料の一つです。魚醤とは魚介類を塩漬けにして発酵させた調味料であり、醤油の場合は大豆を使用しますがその代わりに魚介類を使って漬け込んでいるとイメージしてもらえればわかりやすいでしょう。いかなご醤油とは、名前の通り醤油によく似た製法で作られている調味料なんですね。
魚醤の中でもいかなご醤油は名産品とされており、秋田県のしょっつるや石川県のいしりと並んで日本三大魚醤とも呼ばれています。
いかなご醤油の原料
いかなご醤油は、名前の通り「いかなご」と呼ばれる魚が原料に使用されています。いかなごはコウナゴ(小女子)やシンコ(新子)とも呼ばれています。
香川県では昔からいかなごが大量に獲れるのですが、保存方法が発達していなかった時代にいかなごを長期利用するための知恵として、いかなご醤油が考案されたと言われています。
いかなご醤油の味
いかなご醤油は魚醤の一つであるため、やはり魚醤の特徴が強く現れている調味料と言えます。味の系統は醤油によく似ていてしょっぱい調味料なのですが、一般的な醤油が塩分濃度13%~16%程なのに対し、いかなご醤油は28%~30%と非常に塩辛いのが特徴です。
また、いかなご醤油は他の魚醤と比べてもさらに塩辛くなっています。一般的な魚醤が塩分濃度20%~25%なのに対し、いかなご醤油は28%~30%ほどになります。
ただし、醤油と決定的に違うのは、魚を原料に製造しているため、魚介ダシのような旨味成分が溶けだしている点にあります。料理に使うと、少量で濃厚な旨味をプラスすることができます。
しかし、魚介類を発酵させているため、醤油と違って非常に生臭いのも一つの特徴です。この風味が好きという方もいらっしゃいますが、万人向けとは言い難い調味料なのは間違いないでしょう。ただし、加熱調理すると臭みがとぶため、煮物料理や炒め物と相性が良いとされています。
いかなご醤油の作り方
原料はいかなごと塩を3:1の割合で用意します。用意した樽の中に、いかなごと塩をミルフィーユのように交互に積み重ねます。常温で数日置くと、塩が溶け表面に水分が浮いてきます。こうなったら、毎日棒を使って中身をかき混ぜます。樽の中に塩分濃度の違いができてしまうと薄いところでは腐ってしまうため、撹拌して均一に保ちます。
半年から一年ほどかけて漬け込み、溶けだした液体を布でこし、加熱消毒、ろ過を繰り返して綺麗ないかなご醤油に仕上がります。
いかなご醤油の歴史
いかなご醤油は昔から製造されてきた歴史ある調味料ですが、大豆醤油の発達と共に生産量が激減してしまいました。醤油が品薄になった第二次世界大戦を生産のピークに、その後減り続けて1950年代には生産者がいなくなってしまいました。秋田県の魚醤しょっつるや、石川県のいしりと違い、いかなご醤油を使った郷土料理が無かったためとも言われています。
しかし、近年いかなご醤油が再注目されることとなり、香川県の名産品として生産が再開されたそうです。
料理への使い方
いかなご醤油は塩分濃度が非常に高いため、他の魚醤よりも臭みが少ないのが大きな特徴です。そのため、魚の刺身や豆腐にそのまま醤油のようにかけて食べることができます。(ただし、塩分濃度が非常に高いため、付けすぎないように注意しましょう)
また、臭いが苦手な方は通常の魚醤のように加熱調理して食べることをオススメします。火を通すと魚の生臭さが飛ぶため、煮物料理や炒め物と相性が良いとされています。
【いかなご醤油と相性の良い料理】
まとめ
いかがでしたか。今回はいかなご醤油の特徴と、料理への使い方をご紹介しました。いかなご醤油は香川県の名産品の一つであり、いかなごという小魚を使った調味料です。
いかなごを塩漬けにして発酵させて作る調味料なのですが、醤油よりもさらに塩辛く、魚介ダシのような旨味成分がたっぷりと含まれている分、独特の生臭さがあるのが大きな特徴です。
いかなご醤油は刺身や冷奴に付けても美味しく食べられますが、煮物や炒め物のように加熱調理してから食べると生臭さが飛ぶためオススメです。