こんにちは、調味料の販売をしながら料理の勉強をしているカセです。
日本三大魚醤の一つ、石川県能登半島の名産品いしり・いしる。非常に有名なこの魚醤ですが、「他の魚醤と比べて味がどう違うの?」「原料に違いはあるの?」といった質問も多く寄せられています。また、味も特徴的なので料理にどう使えばいいのか悩んでしまう方も少なくないでしょう。
そこで今回はいしり・いしるの特徴と、美味しい食べ方、調理方法について解説いたします。
いしり・いしるとは?
いしり・いしるは魚醤という調味料の一つになります。魚醤とは、魚介類を塩漬けにして発酵させたものを指します。醤油は大豆を発酵させて精製されますが、大豆の代わりに魚介類を漬け込んでいると考えればイメージしやすいでしょう。
日本全国で魚醤は作られていますが、その中でも特に有名な物を日本三大魚醤と呼びます。そして、いしり・いしるは日本三大魚醤の一つであり、特に品質が良いとされています。
日本三大魚醤は、秋田県のしょっつるや、香川県のいかなご醤油などがありますが、その中でも石川県のいしり・いしるは生産量で日本一の魚醤となっています。
「いしり」と「いしる」で違いがある?
「いしり」と「いしる」、一見なまりの違いのように見えますが、実は製造方法が全く別物なのです。
「いしり」は富山湾に面した港で獲れる真イカの内臓を塩で漬け込んだ物を指します。富山湾側では真イカが豊富に獲れますが、加工する際に廃棄されていた内臓、および頭部を再利用するために魚醤として漬け込んだのが始まりと言われています。真イカの内臓を発酵させているため、濃厚なコクと独特の香りが大きな特徴ですが、生臭さもあるため人を選ぶ調味料となっています。
反対に日本海側で獲れたイワシやサバを塩で漬け込んだものが「いしる」になります。「いしり」よりはクセが薄く、さっぱりとして食べやすくなっていますが、それでも魚介独特の生臭さは多少残ります。
いしり・いしるの味について
見た目はほとんど醤油と同じいしり・いしるですが、味は微妙に違ってきます。どちらも塩分濃度が高く、塩辛い調味料なのは間違いありませんが、魚醤の方が醤油よりも濃厚でコクがありクセが強いのが特徴です。
一般的な醤油は塩分濃度13%~16%程ですが、魚醤は20%~25%程なので醤油感覚で使わないよう注意してください。
醤油は植物たんぱく質由来のためさっぱりしていて食べやすいのですが、魚醤は動物性たんぱく質由来のためコクと旨味が多く含まれています。料理に使うと魚介ダシのような旨味成分が溶けだし、味に深みとコクを与えてくれます。
その反面、魚介類を発酵させているため臭みが強く、万人向けとは言い難い調味料と言えます。(タイのナンプラーを薄めたような臭いを想像してもらえればわかりやすいかと思います。ただし、海外産の魚醤よりは国産魚醤の方が臭みが少なく食べやすいです。)
真イカの内臓を使用している「いしり」の方がクセと臭いが強く、イワシやサバを使用している「いしる」の方が若干クセが少ないのが特徴です。
料理により向き・不向きがあるため、どちらがより美味しいか?とはひと口には言えません。
料理への使い方
非常にクセの強い調味料ですが、煮物料理や炒め物など火を通すことで生臭さが飛び、旨味成分だけを残すことができます。そのため、チャーハンや鍋物、ラーメンなどの料理に向いています。
【魚醤とよく合う料理】
まとめ
いかがでしたか。今回は石川県能登の名産品「いしり」「いしる」の特徴と、美味しい食べ方についてご紹介しました。いしりといしるは日本三大魚醤の一つであり、魚を塩漬けにして発酵させた調味料になります。
「いしり」は富山湾で獲れる真イカの内臓を塩漬けにして発酵させたもの。「いしる」は日本海側で獲れるイワシやサバを塩漬けにして発酵させたものになります。「いしり」の方が濃厚でコクがある分クセが強く、魚介独特の生臭さが目立ちます。反対に「いしり」の方がさっぱりしていて食べやすく、臭いも少なくなります(ただし、魚介類を漬け込んでいるため、多少生臭さは残ります)。
魚醤の方が醤油よりも塩分濃度が濃いため、入れすぎないように十分注意してください。魚醤の方が魚介ダシのような旨味成分が多く含まれていますが、その反面生臭さが残っています。炒め物や煮物料理など、火を通すことで生臭さを飛ばすことができるため、チャーハンやパスタ、ラーメンなどの隠し味に向いています。